社団法人 東北地域環境計画研究会事務局


公開講演会の紹介
世界環境紀行

岩手県環境アドバイザー・地球温暖化防止推進委員 梅野克雄

 

 環境問題を意識して海外から日本を見ると、日本の豊か過ぎるさまがよく分かる。
ウズベキスタンで見た光景は、子供達がゴミの中に捨てられたペットボトルを拾い、水筒として売っている。再利用は地球に優しいことかもしれないが、見ていて切ない。
レバノン国旗のシンボルはレバノン杉であるが、今はほとんどなく、砂漠化している。古代文明の中で、ローマ劇場、舟の建材、浴場、サウナや生活燃料として使い過ぎたためであるという。
ロシヤでは、ゴミは無分別で郊外の広場に埋め立てられている現状を見た。ゴミの散乱する牧場で牛が草を食べていたが、埋め立てられたゴミは、将来、汚水が滲出して、やがて日本海やバルト海峡を汚染する恐れが十分に考えられた。
世界三大氷河の一つ、ペリト・モレノ氷河(アルゼンチン、アンデス山脈の麓)では、二万年前の氷河が、80bの高さから轟音をたてて崩れ落ちるさまに圧倒されたが、年間600bも動くなど、異常な崩壊の早さから地球温暖化が進んでいることが分かる。この地では野生動物の減少も進んでいる。水位上昇によるマゼランペンギンの巣が水没する現象や海流で流れ着いたビニールを食べて死ぬオットセイなど、人間生活の犠牲になった動物は多い。
富裕と貧困層の二極化が進む国は多い。アルゼンチンの首都ブエノス・アイレスでは、スラム街を抱え、ストリートミュージシャンとして、幾ばくかの小銭を稼ぐ少年、少女の姿が印象的だ。インドの北部ウッタル・ブラデシュでは物乞いする三兄弟が痛々しい。世界で1ドルで1日を暮らす絶対的貧困層は世界人口の5分の1にあたる約12億人がいると言われる。雇用、住宅、保健衛生などに猛烈な人口圧力が加わる。食糧不足、環境破壊、失業率は地球的規模で進んでいく。
中国蘭州郊外の大気汚染は深刻だ。化学工場近辺はマスクなくして歩けない。中国の工業の近代化が目ざましいが、一方で公害による健康問題、排水の汚染とその水を利用する農業への影響など計り知れない問題である。
中国の硫黄酸化物の平均濃度は、最も大気汚染のひどかった頃の日本の工業都市の4倍以上であると言われる。
オゾン層破壊で有害紫外線による白内障や皮膚ガンが増えている。オーストラリアのパースでは、特に太陽光の強い日は「有害な紫外線が多いので、外出時は必ずサングラスと日焼け止めクリームを忘れずに。ノースリーブは駄目、つば広帽子をかぶること」と放送がある。
チベットのソーラーシステムは、無骨で手作りである。太陽熱を中心に集める原理を応用してレンズの役目する板を調整し、焦点に置かれた「やかんの水」は約15分ぐらいで沸くという。




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