シルクロード「敦煌の沙漠・緑・遺跡」 |
「吉林農業大学客員教授」 村井 宏 |
今日のこの原稿は「ハヤチネ」という雑誌に載るものです。私がはじめに中国に行ったのは1976年になります。シルクロードに行って敦煌に行かないのは損だよということで行ったわけです。井上靖の昭和34年に書かれた小説に敦煌が紹介されています。彼はしばらく新聞社に勤めて、小説を書くようになったと聞いております。私は昨年、北京林業大学のはからいで敦煌に行く機会がありました。
敦煌というと1月の平均気温が12度ぐらいまで下がり、夏には34から35度までなります。雨が少なく、乾燥しているから病害虫の発生が少ないと現地で案内してくれた方が申しておりました。最近はハウス栽培も行われているようです。中国では沙漠を緑にしていくと言う形の林業が国策として盛んに行われているようです。そんな中でポプラが活用されています。それ以外ではナツメが植えられています。農業の栽培地や民家がある農村の周りから緑を増やしていく方法が一般です。沙漠にひたすら木を植えるということはお金があるサウジアラビアのような国でやられていることなのです。
ここからスライドを使って説明しますが、敦煌は古いシルクロードの天山北路、中路、南路の起点となります。シルクロードの特徴は砂丘の中で地下水があるところにはオアシスが見られています。ブドウ畑にポプラが防風林として植えられていました。ブドウは最高に甘くて、ほとんど種が入っていませんでした。日本で食べるものと比べても本当においしかったです。見事なポプラの並木道がありました。沙漠の最前線になってくると低木類が多くなってきます。さらに沙漠の近くには草や潅木になってきます。沙漠の中で見られた面白いものを見せたいと思います。この柱のようなものは大雨で砂が流され、残った粘土分が風化しながらたまって堆積し、面白い造形となっているものです。
次に、沙漠の中にある仏教遺跡について紹介いたします。これは西夏からの侵略に対して漢民族が守るために隠したものだと言われています。現在はこれらの遺跡と沙漠を観光手段として利用しています。また、沙漠の中に植物や生き物を学ぶモンゴルのパオをまねた宿泊もできるレクリェーション施設がいくつか建っておりました。
いつか皆さんも敦煌を訪ねてみたらどうかと思います。 |