薬師岳のなりたち 斜面構成のプロセス |
「宮城教育大学教育学部助教授」 西城 潔 |
薬師岳は、早池峰山と同様に北上山地では突出した孤立峰ですが、この山の山地斜面を地形学的に区分すると、主に周氷河性平滑斜面・山麓緩斜面・旧崩壊斜面の3種類の地形により構成されています。
周氷河性平滑斜面・山麓緩斜面は寒冷な気候のもとで土壌中の水分が凍結と融解が繰り返されることなどにより凸凹の少ないなめらかな斜面が造られたもので、今から1万年前くらいまでの時期に起こったと考えられています。
その後、気候が温暖になって降雨等による崩壊が原因となって造られた地形で、スプーンでえぐりとったような形が特徴的です。
これは今でも続いており、崩壊斜面での表層崩壊や平滑斜面での細粒物質が洗い出されるなど、現在は崩壊型の斜面が造られている時代と言えます。
推測ですが、今後、大規模な地すべり型崩壊が起こる可能性も秘めていると思われます。 |